instagram

2026.05.15 リノベーション

退去立会い・退去時請求で気を付けるポイント

【要点サマリー】

  • 原状回復は「借りた当時の新品状態に戻すこと」ではありません。通常損耗・経年変化は原則オーナー負担です。
  • 退去時の請求トラブルは、「立会い時の確認不足」と「説明不足」に起因することが大半です。感情論ではなく、証拠・契約・ガイドラインに基づき整理することが重要です。
  • 東京ルール(賃貸住宅紛争防止条例)では、事前の契約時説明とトラブル予防が重視されています。
  • 請求にあたっては、「まず高額請求」するのではなく、「客観的に説明可能な請求額」を提示することが紛争解決の近道となります。

1. 導入

賃貸経営において、退去時の原状回復トラブルは避けて通れない課題です。入居者が退去する際、修繕費用の負担を巡って意見が対立することがあります。 このような退去時のトラブルは、お互いの『感情』でぶつかり合うのではなく、『証拠(入居時からの記録)・契約書・ガイドライン』を用いて冷静に整理することが非常に重要です。 多くの場合、請求トラブルは「立会い時における現状の確認不足」と「修繕範囲や特約に対する説明不足」によって引き起こされます。

2. 退去立会いで気を付けるポイント

  • 入居時記録との比較: 入居時に作成した「物件状況確認書」などと照らし合わせ、もともとあった傷か、入居後についた傷かを確認します。
  • 写真撮影の徹底: 部屋の全景と、傷や汚れの接写を撮影します。スマートフォン等で日付情報(Exifデータ)が残るように管理することが重要です。
  • 責任の切り分け: 汚れや傷が「通常損耗/経年劣化(オーナー負担)」によるものか、「借主の故意・過失等(借主負担)」によるものかを確認します。
  • 各所の動作確認: 備え付け設備の動作確認、鍵の返却本数、残置物の有無、水道・電気・ガスなどのメーター確認を忘れずに行います。
  • その場で断定しすぎない: 立会い時に修繕費用や負担割合をその場で断定・確約することは避けます。「後日、専門業者の見積もりとガイドラインを照らし合わせて精査の上、ご請求します」と伝えるのが無難です。
  • 立会い確認書の重要性: 両者で確認した事実(傷の有無など)を記載した書面にサインをもらうことで、後々の言った・言わないのトラブルを防ぎます。

3. 退去時請求で気を付けるポイント

原状回復とは『借りた当時の新品状態に戻すこと』ではありません

  • オーナー負担になりやすい例: 日焼けによるクロスの変色、家具の設置によるカーペットのへこみなど、通常の生活で生じる「通常損耗」や「経年変化」は原則オーナー負担(賃料に含まれる)とされます。
  • 借主負担になりやすい例: タバコのヤニ、結露を放置したことによるカビの拡大、引越し作業時の引っかき傷など、借主の「故意・過失」「善管注意義務違反」によるものは借主負担となります。
  • 経過年数・減価の考慮: 借主責任の修繕であっても、対象物(壁紙など)の経過年数(減価償却)を考慮し、全額負担にならないよう計算する必要があります。
  • 工事範囲は必要最小限が原則: 傷がついた部分のみの補修(平米単位など)が原則であり、色合わせのために部屋全体のクロスを張り替える費用を借主に全額請求することは認められません。
  • 特約の有効性: クリーニング特約などを結んでいる場合、「特約の必要性・合理性」「借主が特約によって通常の原状回復義務を超える負担を負うことの認識」「合意」といった有効要件を満たしているか注意が必要です。
  • 証拠のセット化: 請求時は、「請求書」「業者からの見積書」「該当箇所の写真」「ガイドラインに基づく負担割合の根拠」をセットにして提示することで、借主の納得を得やすくなります。

4. 東京ルール(紛争防止・紛争解決)の要点

  • 位置付け: 「東京ルール」とは、東京都が制定した『賃貸住宅紛争防止条例』に基づくルールの一般的な呼称です。
  • 契約前説明の義務: 条例により、宅建業者は契約前に「退去時の原状回復」や「入居中の修繕」の費用負担の原則について、書面を交付して説明することが求められます。
  • 負担の判断基準: 退去時の費用負担は、契約書・特約の内容と併せて、東京都の『賃貸住宅トラブル防止ガイドライン』および国土交通省の『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』を照合して客観的に判断します。
  • 紛争化したときの実務的対応手順: トラブルになった場合は、まず証拠整理(写真や契約書)を行い、借主に根拠を丁寧に説明します。その後協議を重ね、合意が難しい場合は東京都の相談窓口、ADR(裁判外紛争解決手続)、少額訴訟の利用を検討します。
  • スタンス: 「交渉を見越してまずは高額な請求をする」という姿勢は不信感を招きトラブルを長期化させます。最初から「説明可能で合理的な請求額」を提示することが最も重要です。

5. オーナー向け実務チェックリスト

  • 入居時の室内写真および物件状況確認書は保管されているか
  • 退去予告日および契約内容(特約含む)を事前に確認したか
  • 立会いにはカメラ(スマホ)、メジャー、確認書、筆記用具を持参しているか
  • 残置物の有無、鍵の返却(スペア含む)を確認したか
  • 傷や汚れについて、入居者の故意・過失か、自然損耗かのヒアリングを行ったか
  • 修繕が必要な箇所について、近接写真と全体写真を撮影したか
  • 立会い確認書に、双方で確認した内容を記載し署名をもらったか
  • その場で費用の断言・約束をしていないか
  • 見積書は施工最小単位(平米など)で細かく出されているか
  • 経年劣化(耐用年数)を考慮した負担割合の計算を行っているか
  • 請求書には写真と計算根拠を同封しているか

6. 費用負担の整理例

項目 負担の考え方 実務メモ
日照によるクロス・畳の変色 オーナー負担 経年変化・通常損耗にあたるため、借主へは請求不可。
家具の設置による床のへこみ オーナー負担 通常の生活で想定される範囲のため。ただし引きずり傷は借主負担。
引越し作業等での壁の引っかき傷 借主負担 過失にあたる。経過年数を考慮し、平米単位等最小限の施工範囲で請求。
タバコのヤニ・臭い 借主負担 通常の用法に反する。クロスの張替え等について経過年数を考慮して請求。
結露を放置したことによる拡大カビ 借主負担 拭き取る等の善管注意義務を怠ったため。カビの除去費用等を請求。
ハウスクリーニング特約 要確認 契約時に明確な合意があり、金額が明記・妥当であれば有効な場合が多い。
鍵交換費用 原則オーナー負担 次の入居者のためのセキュリティ確保のため。特約があれば借主負担も可。

7. 関連写真

鍵渡し・返却の様子

立会い時の鍵の返却確認(スペアキーの本数も確認)

退去後の空室状況

荷物搬出後の全景写真(残置物や全体の損耗を確認)

壁のダメージや水濡れ跡

傷や汚れの接写(放置によるカビや過失による傷の証拠化)

清掃・クリーニングの様子

退去後のハウスクリーニング(特約の適用範囲を確認)
【注意書き】
本資料に記載されている内容は、一般的なガイドラインおよび実務上の整理をまとめたものです。 実際の法律関係や負担割合は、個別の契約内容(特約の有無や文言)、入居期間、傷や汚れの程度などの個別事情によって異なります。 法律相談を断定するものではありませんので、紛争が生じた際は各種相談窓口や専門家にご相談ください。

参考リンク

Contact

すべて

  • 現地調査
  • お見積り
  • ご提案

リノベーションに関するご質問・ご相談は
お気軽にお問い合わせください

LINE相談・お問い合わせ Webからのお問い合わせ

お電話でのお問い合わせ 042-314-1170 [ 10:00〜19:00|日・祝休み ] 10:00〜19:00|日・祝日休み

LINEでのご相談 WEBでの
ご相談・お問い合わせ