2026.05.11 リノベーション
賃貸物件におけるエアコン 2027年問題とは
本資料は、2027年度に施行される家庭用エアコンの省エネ基準強化(いわゆる「2027年問題」)について、賃貸物件オーナーの皆様が実務上で理解しておくべきポイントと、取るべき対策をまとめたものです。
目次
【2027年問題の要約】
1. 2027年4月からエアコンの省エネ基準が強化され、メーカーは高効率な機種の製造を求められます。
2. 現在使っているエアコンが直ちに使えなくなる・修理できなくなるわけではありません。
3. しかし、将来的に安価なモデルの減少や価格上昇、旧型機の部品確保が難しくなるリスクに備えた計画的更新が必要です。
何が起きるのか
2027年4月より、省エネ・非化石転換法に基づく「トップランナー制度」により、家庭用エアコンの新たな省エネ基準(2027年度基準)が適用されます。これにより、以下の変化が見込まれます。
- 省エネ基準の強化:メーカーはより高い省エネ性能を持つ製品を出荷する必要があります。
- 市場ラインナップの変化:高効率機が中心となり、現在のような安価なスタンダードモデルの流通が減る可能性があります。
- 価格と手配への影響:製造コスト上昇による本体価格の値上がりや、2026年度中の駆け込み需要による工事混雑が懸念されます。
- 既存機種への影響:今使っているエアコンが一斉に使えなくなるわけではなく、修理が一律に禁止されるわけでもありません。しかし、冷媒規制の進行等により、古い機種(特に10年以上前のもの)は部品供給や修理費用の面で徐々に不利になる傾向があります。
オーナーにとっての影響
賃貸経営においては、以下のような影響が考えられます。
- 更新費の上昇:安価なモデルが減ることで、1台あたりの設備更新費用が従来より高くなる可能性があります。複数戸を保有する場合、負担が大きくなります。
- 真夏・真冬の故障対応リスク:故障時に旧型機の部品確保が遅れたり、代替機の在庫が不足したりすると、入居者を長期待たせることになります。
- 空室対策・募集条件への影響:省エネ性能の高いエアコンは電気代削減につながるため、古いエアコンのままでは競合物件に見劣りするリスクがあります。
- 入居者満足度・クレーム対応:エアコンの効きや故障によるトラブルは、直接的なクレームや早期退去の要因となり得ます。
オーナーがすべき行動
リスクを最小限に抑えるため、以下の行動を計画的に進めることをお勧めします。
- 全戸のエアコン台帳作成:部屋番号、メーカー、型番、製造年、電圧(100V/200V)、設置年、故障歴を一覧化します。
- 優先順位付け:製造から10年前後経過している機種、または不具合の兆候がある機種をリストアップし、優先的に交換を検討します。
- 交換計画の前倒し:夏場や引越しシーズンの繁忙期、また2026年度後半の駆け込み需要を避け、閑散期に計画的な交換を行います。
- 相見積もり・一括発注・補助金確認:複数台をまとめることで単価交渉を行ったり、自治体の省エネ関連補助金が活用できないか確認します。
- 退去時交換等の活用:空室時の原状回復工事と合わせてエアコンを更新することで、入居中の工事調整の手間を省きます。
気を付ける内容
実際の交換工事や管理において、実務上以下の点に注意してください。
- 畳数と能力のミスマッチ:部屋の広さや日当たり(角部屋・最上階等)に合わない能力の機種を選ぶと、効きが悪くクレームになります。
- 電気設備の確認:100Vと200Vの違い、エアコン専用回路の有無を確認します。既存の隠蔽配管を再利用できるかどうかも施工店への事前確認が必要です。
- 室外機の設置環境:ベランダ等の設置スペース、近隣への騒音配慮、十分な通気が確保できるかを確認します。
- 契約書上の設備/残置物の整理:エアコンが「貸主負担の設備」か「借主負担の残置物」か、賃貸借契約書と実態の整合性を管理会社と確認します。
- 入居者への案内とフロー整備:夏本番前の試運転の呼びかけや、故障時の連絡先フローを整備し、入居者へ周知します。
写真で見るチェックポイント
④ 居室全体とのバランス
- 部屋の広さ(畳数)に対して能力が不足していないか
- LDK等、入居者が長時間過ごす部屋を優先投資する
- 省エネ基準を満たした新機種であることを募集の強みにする
おすすめ対応スケジュール
| タイミング | 実施すべき内容 |
|---|---|
| 今すぐ | 全所有物件のエアコン台帳を作成。製造から10年以上経過している機種を特定する。 |
| 次の空室時 | 退去に伴う原状回復工事の際、古い機種(10年超)は原則として新品へ交換する。 |
| 2026年度中 | 駆け込み需要による品薄・価格高騰を避けるため、交換予定の残りの機種を閑散期に計画更新する。 |
| 故障時 | すでに新基準や冷媒規制を考慮した機種選定を行い、長寿命・高効率モデルを採用する。 |
【誤解しやすいポイント】
- 「2027年に今のエアコンが全部使えなくなる」は誤解です。
資源エネルギー庁も明言していますが、トップランナー制度はメーカーに対する規制であり、現在使用中のエアコンを直ちに廃棄・交換する必要はありません。 - 「安い機種が完全消滅する」とは限りません。
ただし、基準を満たすための製造コスト増加により、全体的な価格の底上げや、選べる低価格帯モデルの選択肢が狭まる可能性は高いと考えられます。 - 「本体価格だけで」判断しない。
省エネ性能の向上により、機種によっては長期的な光熱費の削減が期待できます。入居者の満足度向上や空室対策という付加価値も含めて総合的に判断することが重要です。
まとめ
エアコンの「2027年問題」は、賃貸オーナーにとって直ちに致命的な打撃となるものではありませんが、設備の更新費用や管理体制にじわじわと影響を与える変化です。「壊れるまで使う」という従来の方針では、いざという時の手配遅れやコスト増のリスクを背負うことになります。
まずは現状の設備状況を正確に把握し、2026年度までの期間を利用して、古いエアコンから段階的・計画的に更新を進めていくことが、安定した賃貸経営を維持するための実務的な対応策となります。
【参考情報】
- 27年4月からエアコンの新たな省エネ基準がスタート!(資源エネルギー庁)
- 省エネ基準強化!エアコンの「2027年問題」とは?賃貸オーナーが知っておきたいポイント(オーナーズ・スタイル)
- エアコン2027年問題とは?賃貸経営への影響とオーナーが取るべき対策(ヒノキヤグループ)
※ 制度や市場価格、補助金の状況は変動する可能性があります。最終的な法的解釈、契約内容の妥当性、および税務処理等については、必ずメーカー、施工店、管理会社、税理士等の専門家へご自身で確認を行ってください。
本資料は2026年時点公開情報をもとに整理した概要です。
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